2018年、セムコ・ヴィジョンを策定されました。
宗田
第二創業期を迎え、原点に立ち戻り、自分たちのなすべきこと、そのためにどうあるべきかを考えました。
「私たちの行動基準」を決め、社長・幹部・各部署でそれぞれ指針を明確にしたものが「セムコ・ヴィジョン」です。全員が同じ価値観を共有し、日々の業務に生かしていけるように、ヴィジョンに関する勉強会を定期的に行っています。セムコは社名の由来(Saving Energy and Manpower Corporation)からもわかるように「人の力」を最重視しています。私たちがいう「人」とは、自分のオリジナリティを出し、あきらめることなくチャレンジできる人。互いに力を合わせて結果を出し、チームとしてお客様・社会に貢献できる人のことです。
チームプレイの重要性については何度も触れておられますね。
宗田
セムコは創業時から、小さいながらプロフェッショナル集団としてこの業界のものづくりを支えてきました。そこで必要なのは、ひとりのスター選手ではなく、柔軟に対応できるチームです。ひとりひとりの個性を生かしつつも、「ひとり」がいないと業務がストップするという事態になってはいけませんから、いつでも互いをサポートできるような体制ができています。
従業員のかたが「互いに助け合えること」「誰かの役に立てること」がこの会社で経験できて嬉しい、と言っておられました。
宗田嬉しいですね。
枠にこだわらず、自分の持てる能力をフルに生かし人の役に立ちたいと努力すること、そして結果を出すことは、セムコスピリットに通じます。
セムコ・ヴィジョンにはもうひとつ重要な柱が明示されています。
宗田
業界、社会にイノベーションを起こす企業となる、ということです。実際に、業界ではいまだに価格交渉が横行しています。
価値を提案する前に、高い安いの話になってしまう。それでは、何のために仕事をしているかわかりません。モチベーションも上がらないでしょう。
他国の船舶業界を見ますと、すでにシステム化が進んでいますし、購買側の思想に立って次々に新しいものを生み出そうとする空気があります。当社としては、グローバルな動きにもアンテナを張り、日本のものづくりを支えるべく、チームとしての力をより強化していく必要があると考えています。
私たちはプロフェッショナル集団として「ないもの」を生み出してきた創業時のベンチャー精神に立ち戻り、志を高くしてイノベーションを起こしていきたい。それがお客様にとってのお役立ちにつながり、ひいては社会貢献につながるのではないでしょうか。
セムコは高い技術力とサービスを通じて「三方よし、世間よし」の会社であり続けます。それがセムコのプライドでもあるのです。
これからもよろしくお願いいたします。
セムコはシェアNo1 ですが、「働き方」についても先端的ですね。
宗田
女性も男性も、ライフステージや家庭の状況にあわせて能力を生かせるように様々な制度を行っています。女性の産休・育休などはあたりまえですし、ワークライフバランスの考え方が浸透していると思います。
たとえば、女性の働き方について言いますと、そもそも当社は業界としては珍しく、女性従業員が50%を超えています。ですから、女性が働きやすい環境が自然に作られているかもしれません。その基盤として、互いに相手の立場を理解し、助けあう企業文化が醸成されてきました。女性の管理者もおりますし、やる気のある人にはどんどんチャレンジする機会を用意しています。時間給社員から正社員への登用機会もあります。
従業員の皆さんからは「自分が成長できる会社」という感想がよく聞かれます。
宗田
ラーニングオーガニゼーションを意識してOJTのほか、研修や勉強会を行っています。また、コーチングを導入して組織活性化を進めています。当社規模のメーカーでは珍しいのではないでしょうか。
実際のところ、ノルマを課して売り上げを作るほうが早いかもしれませんし、上から「やれ」と指示するほうが楽ですが、それでは成長につながりません。ひとりひとりが「どうすればできるか」をみずから考え行動することが重要であると思っています。そうして初めて自分の可能領域が広がります。
社長ご自身がコーチングの資格を取られたとうかがいました。
宗田
はい、自分たちの組織にしっかりと生かせるように、日々実践しています。誰かが問題に直面した場合、コーチングの方法を使って自分自身で解決できるようにサポートします。それによって従業員各人の思考や行動の癖もわかりますから、より本人に適した対応ができますし、適材適所が可能になると感じています。
「ないものをつくる」は、「世の中にないものを新たに生み出し、かたちにする」という意味です。
ただ単に、今ある自社の製品やシステムを提供していくのではなく、お客様のニーズから弊社の経験、技術製品やシステムをつかって今までになかったものを生み出していきます。それを1社で行うのではなく、お客様や業界の方たちと共に「競争」ではなく「共創」し、そのクリエイティブな輪を世界中に広げていきます。
[Social Innovation]
本業を通じて、世界中の仲間と共に、
社会課題を解決し、
世の中のお役に立つ企業となる。
企業は人なり
企業は人がいて、初めて成り立つ。人が大事。企業の「コア」は人です。
セムコは、ものづくりを通して、人々の諦めていたことを実現して人や組織の活性化をしていきます。
世界規模でのパートナーシップを組んで、
我々の技術や経験を使って、
共に世の中の課題を解決していく。
"Saving Energy
and
Manpower Corporation"